こんにちは、マクロミル社内システム担当の平野です。
情報システム部門(以下、情シス)において、社内ユーザ―からのあらゆる問合せ対応に忙殺されることは「#情シスあるある」なのではないでしょうか。マクロミルの情シスにおいても大量の問合せ対応を効率化すべく、改善活動を継続していますのでその事例をご紹介します。
情シスの問合せ対応における課題
2016年までは電話・対面を中心に社員のサポートを行っており、「わからないことはすぐに問合せをする」という認識が社内に定着していました。限られた人的リソースで効率的にサポートしなければならないという課題がある中で、膨大な量の問合せに対応していました。しかし、2017年のIT部門が本社からサテライトオフィスへ移転したことをきっかけに、問合せフォーム・FAQでのサポートにシフトしました。約3カ月間で過去の問合せ事例をFAQ化し、これまでは全く活用されていなかったFAQサイトのリニューアルを行いました。

↑FAQサイトでは、カテゴリやフリーワードで検索できるようにしています。
その結果、「社内システムでわからないことがあれば、まずはFAQサイトを見る」ということが社内に定着し、システム管理者のサポートが必須な内容のみが問合せされ、これまでよりもスムーズに対応ができるようになりました。しかし、FAQサイトの検索性がよくないことやFAQの数が多いことから、社員が閲覧したいFAQにタイムリーにたどり着けない課題がありました。また、人事や総務のようなバックオフィス部門の問合せ対応においても同様の課題がありました。
チャットボット(ChatBot)とは/導入の背景と活用事例
チャットボット(以下、ChatBot)とは、人工知能を活用した「自動会話プログラム」のことで、短文で質問を入力すると、返答が自動で返ってくるシステムです。困っていることをチャットに入力するだけで必要な回答を得られるため、社員が迷わずに使用でき、問合せのハードルも下げられること、情シスの問合せ負荷削減を目的にChatBotの導入を決めました。なお、チャットボットの導入についてはこちらでもご紹介しています。 多数のベンダーからプラットフォームが提供されている中で、マクロミルでは次の3点を重視してChatBotを選定しました。
- 低コスト
- ベンダーとシステムの安定稼働
- IT部門以外の部署でも運用が可能なプラットフォーム
2019年の年明けから、同じ課題を持っている総務と連携し、まずは情シスと総務のQ&Aを登録、バックオフィス部門の社員にも協力いただきながらパイロット運用を実施しました。その結果、Q&Aの整合性がある程度取れていることが確認できたため、その3カ月後にChatBotの本運用を開始しました。この頃から対面前提ではない問合せ対応の体制ができていたため、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いリモートワークへシフトした際にも困ることはありませんでした。その後、人事部門のQ&Aも追加で登録し、現在は3部門でChatBotを共同運用しています。「IT部門以外の部署でも運用が可能なプラットフォーム」として、誰でも操作ができることを選定条件にしていたため、総務や人事のメンバーもQ&Aの登録・編集作業を容易にすることができています。
例えば、勤怠管理システムについて不明点があるときに、これまでは情シスと人事部門の両方に問合せされるケースがありました。ChatBotがディレクションしてくれるおかげで、問合せ先がわからないというような副次的な課題も解決することができました。また、ChatBotの管理コンソールでは問合せの入力履歴を閲覧することができるため、社員の困りごとをタイムリーにキャッチアップできる点も問合せ対応の改善や部署の運営に役立っています。

↑人事、総務、情シスそれぞれのFAQサイトに同一のChatBotが常駐しています。
今後について
ChatBotだけでは解決できない問合せもあり、例えば「ツールの活用事例を教えてほしい」というようなものは、ChatBotだけでは解決できません。このような問合せはChatBotから問合せフォームへ誘導されますが、フォームのユーザビリティ面ではまだまだ改善の余地があります。また、フォームでは問合せの履歴を管理するのみで、問合せの傾向の分析ができるような機能はなく、問合せ対応担当者の体感によるトレンド分析のみにとどまっています。
そのため、一部の申請はワークフローシステムへ移行することでユーザビリティを高めたり、問合せ対応や履歴の管理にはITサービスマネジメント(利用者にいつでも快適にITサービスを利用してもらうための仕組み)システムを導入することなどを検討しています。社員の利便性を高めながら、情シスなどの運営側の負担も削減できるようこれまでのフレームワークにとらわれず、継続的なアップデートを行っていく予定です。