こんにちは。マクロミル社内のITインフラ構築・運用に携わっている浦中と申します。新型コロナウイルスの流行により刻一刻と世の中の状況が変わっています。今回は社内IT部門の視点で、マクロミルの全社リモートワーク化に至る経緯、そこから見えてきた課題、今後の取り組みについて紹介したいと思います。
マクロミルを取り巻く出来事
2020年3月、マクロミルにとっての最繁忙期を迎える中で、新型コロナウイルスとの闘いは突如始まりました。これまでもリモートワーク制度はあったものの利用の割合は一部に限られていました。コロナ影響が拡大する中で、全社原則、自宅でのリモートワークを行う方針が出され、翌4月には7都府県に緊急事態宣言が発令されました。発令対象エリアの社員が順次自宅でのリモートワークへ移行する中で、私たち社内IT部門にはインフラ環境を一日も早く整備してビジネスを止めないことが求められました。
急遽決まった全社リモートワーク方針により、「ノートPCの支給はどうなるのか」「モバイルWi-fiのデータ容量は上げられるのか」など、社内から数多くの問合せが発生。
まず、絶対的にノートPCが足りないという課題がありました。リース、その他の販社含め、市場にノートPCの在庫がない状態の中、倉庫にある古い型のPCも含め、約140台のPCをキッティングし社員の自宅に発送しました。
また、マクロミルの基幹業務である、ネットリサーチを担当しているリサーチディレクター(RD)がリモートで紙業務を代替するためにタブレットを使いたいという要望が4月半ばに上がりました。タブレットもノートPC同様、市場に在庫がなく、レンタル会社も業務を停止していたことから急遽タブレットを90台購入し、すぐにセットアップに取り掛かり、5月頭には完了、社員の自宅に発送しました。その後、タブレットでの利用が始まると「○○ができない」といった問合せ対応が多く発生し、日々対応を行っていました。

PC、タブレットの調達キッティングはまとまった数の依頼が来ていたため、その期間は出社してキッティング対応に専念するメンバーと、その他の通常問合せ対応を行うリモートメンバーで分担をしていました。
最も大変だったのは、本社の閉鎖期間(本社が入っているビルの他社テナントで感染者が発生したため、当時はオフィス閉鎖の対応を行っていました)でした。オンサイトで対応が必要なことがあってもできない、サポートしたいのに手が届かない、ユーザのリクエストに答えられないというのが非常に苦しかったです。
全社リモートワークで見えてきた課題
リモートワークへの移行が進んだのはマクロミルだけでなくお客様も同じ状況でした。打ち合わせが対面からWeb会議に切り替わる中でWeb会議システムのライセンスが不足し、「ライセンス数を追加してほしい」といった要望が寄せられました。
また、社外からセキュアに社内システムを利用するため、マクロミルではVPN(インターネット上の仮想の専用線)接続を利用しています。しかし、リモートワークの利用者が増加しVPNのアクセスが集中したことでネットワーク帯域が逼迫し、一時的に通信が安定しないといったことがありました。トラフィックを分ける設定変更の検証、実装を行い、現在は安定してVPN接続を行えるようになりました。
これらの課題は一例ですが、コロナ禍以前から働き方改革やBCPを前提とした社内システム構想を進めてきたものの、なかなかリモートワークに踏み切れてなかった中で、突貫ではありましたが、リモートワークへ全社が移行できたことは重要なポイントで、リモートワークにおける課題を明確化することができました。

今後の取り組み
昨今、社内で守るという考えからインターネットの世界の中でPCを守る、いわゆる「ゼロトラスト」の考えにシフトしています。脅威からの防御や管理を行う仕組みやネットワーク構成を改めて考える必要があり、現在は端末防御としてのEDRの展開や、VPN以外の社内への接続の選択肢としてVDI(仮想デスクトップ)環境の導入を進めています。
コロナ禍を契機として、以前は「リモートでは困難」と考えられていた業務も、どうすれば実現できるかを社内のビジネス部門とIT部門で共に考えながら一気に推し進めることができた面もあります。様々な環境の変化を踏まえ、常識や定石に捉われずに、次のビジネス戦略と連動した社内システム基盤を常に考え、提供する必要があると感じています。有事の際においても事業を継続するための環境づくりや働き方改革を今後もITの力で推進していきたいと思います。
今回は、たった10日間で全社リモートワークができた理由と今後の課題についてご紹介しました。VDIなど、現在取り組んでいる環境づくりについては、また別の機会にご紹介したいと思います。